【ナ ニ ヌ  

【ネスト(Nest)】《SW全般》

ネストとは入れ子にすることを指し、プログラムでいう制御構造、関数呼び出しや割込み等、いろいろな意味でのネストがある。制御構造のネストでは、ネストが深くなると制御構造が複雑、つまり制御が様々の要因で行われることを意味し、分かり易いプログラムのためには制御構造の見直しが必要になる。また関数のネストが深くなると、関数呼び出しの際に必要となるスタックの消費量が多くなり、配慮が必要になる。割込みのネストは、割込みの優先順位をどう考えるかということを考慮する必要がある。いずれにせよ、組込みソフトウェアでは、ネストが深くなる場合はネストによる各種資源の制約を配慮する必要がある。

【ネットワーク(Network)】《SW全般》

網状に巡らされた通信網を指し、通常不特定多数と通信をすることを想定している。インターネット(Internet)はそのようなネットワークの代表例である。最近では組込みシステムでもネットワーク対応の機器が増えてきている。ネットワークへの接続形態は機器により有線ならイーサネット(Ethernet)が多く、無線はその時に容易に入手できる物を用いることが多い。何れの場合でもネットワークに接続するためには、TCP/IPを中心とした通信プロトコルやデバイスのドライバが必要になるが、ミドルウェアと呼ばれるソフトウェア・パッケージを購入して使用することが多い。 また、不特定多数が接続するネットワークを想定する場合は特に、仕様および実装の両面でセキュリティに関して配慮する必要がある

【熱暴走】《HW》 → 熱問題

【熱問題(Thermal Issue)】《HW》

組込み機器に限りませんが、ハードウェアは環境温度の影響を受けます。変位の伝達機構は熱膨張によりその精度に影響を受けますし、電気回路に使用される半導体素子は温度によって動作速度が変わる特性を持つため、多くの半導体素子からなる集積回路は外部からの信号に対する応答安定性やそれが生成する信号の波形形状や時間幅などに温度の影響を受けます。
後者については通常はハードウェア設計者がこれらの最悪値を考慮して機器に想定される最悪環境下であっても安定した信号処理ができるようにマージン設計をします。
また、半導体は環境温度の影響を受ける以外に、自身の発熱による影響も受けます(自身の発熱による特性変化から内部の正常な回路動作が破綻し、ますます発熱するようになる現象は熱暴走と呼ばれます)
電源投入直後は安定して動作するのにしばらく放置しておくと動作不安定になるといった不具合症状の場合は熱の影響が疑われます。そのような場合は、回路の各部の温度状態を確認しましょう。もし異常に発熱している半導体や受動素子があるようならば、放熱が設計どおりに機能しているかどうかの確認とともに、その部材を強制的に冷却してシステムの動作を見るということが必要になります。もちろん、このような症状ではソフトウェアでのメモリリークやポインタの扱いのミスなどが異常の原因である場合もありますから、まずソフトウェアの正当性を確認しておくことがだいじです。

【ノイズ】《HW》

デジタル、アナログを問わず、本来取り扱うべき信号の読み取り精度に影響を与える、あるいは誤動作を引き起こすような波形が本来の信号波形にかぶさる場合、それをノイズと呼びます。ノイズは信号の振幅方向のものと、時間軸方向の(もと信号のタイミングをずらす)ものがあります。
電気/電子回路はその動作に伴い、ノイズの原因となりうる信号や電磁波を多かれ少なかれ外部に放出します。それらは回路素子から発生し、バスなどの信号ラインに乗る(信号としてかぶさる)と同時に電磁波として輻射されます。ノイズはこのように組込み機器自身が発生するものと組込み機器の外部からやってくるもの(外来ノイズ)との2通りに分けられます。
そのどちらであってもノイズは組込み機器自身の誤動作・不安定動作・故障の原因になりえますし、場合によっては他の機器の誤動作を引き起こす原因になることもあるのでノイズ対策は重要です。またノイズが原因で発生する不安定動作は再現性を持たないことが多いのですが、それゆえソフトウェアエンジニアがノイズの性質を良く理解することはテストの効率を上げるうえで非常に有益であると言えるでしょう。

【ノイズ対策】《HW》

ノイズは組み込み機器の動作を不安定にする要因となります。また、外部に電磁波として輻射されるノイズは、外部の機器の誤動作を引き起こす原因になることもあります。特に、機器の外部に漏れるノイズのレベルについてはFCCVCCIをはじめとした規制またはガイドラインがありますが、これらで規定されている輻射レベルをクリアすることは商品として重要な要件となります。
自分自身から発生するノイズ、および外来ノイズ対策の例を以下に列記します。

1) ノイズを発生しにくくする

2) 発生したノイズを逃がす

3) ノイズを受け付けにくくする

4) ノイズを受けても誤動作をしにくくする

上記のような各種の対策は、FCCなどの規制への適合必要度およびノイズについて組込み製品が受け入れられるリスクと、かけられるコストとから具体策がつど決定されることになります。