4th Open SESSAME Seminar Report
最終更新日 2004年10月27日

4th Open Sessame Seminar の概要

4th Open SESSAMEの会場の様子 組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会(SESSAME)は第4回 組込みソフトウェア技術者・管理者向けセミナー(4th Open SESSAME)を9月13日(月)〜 9月14日(火)の両日に、東京・日本橋の東実年金会館にて開催しました。

受講の対象としては同じく組込みソフトウェア開発に従事して4年以上またはプロジェクト経験3回以上程度の技術者としてはリーダクラスのかたを対象とし、技術リーダとして高品質のソフトウェアを開発するために必要な技術的なスキル、知識を身に付けていただくことを目的としています。
4th Open SESSAME の会場の様子

4th Open Sessame Seminar 参加募集要項
4th Open Sessame Seminar アンケート集計結果

4th Open SESSAME Seminar プログラム 1日目  9月13日(月)
プログラム1 イントロダクション〜ソフトウェア品質基礎と各講演の紹介〜 アンケート集計結果 居駒 幹夫 (日立製作所)
プログラム2 組込みシステム開発における知的財産権 アンケート集計結果 横田 一樹 (日本弁理士会)
プログラム3 構成管理T(基礎編) アンケート集計結果 田中 友子 (SESSAME)
プログラム4 構成管理U(実践編) アンケート集計結果 酒井 由夫 (SESSAME)
プログラム5 構成管理(演習編) アンケート集計結果 酒井 由夫 (SESSAME)
田中 友子 (SESSAME)
プログラム6 プラットフォーム選定の観点(RTOS編) アンケート集計結果 平野 誠太郎 (オムロン)


4th Open SESSAME Seminar プログラム 2日目  9月14日(火)
プログラム7 リアルタイムシステム設計 I (理論編) アンケート集計結果 北村 裕之 (堀場製作所)
プログラム8 リアルタイムシステム設計 II (実践編) アンケート集計結果
プログラム9 リアルタイムシステム設計 (演習編) アンケート集計結果 斎藤 賢一 (リコー)
プログラム10 組込み開発のソフトウェアテスティング アンケート集計結果 大西 建児 (豆蔵)
プログラム11 レビュー(ウォークスルー&インスペクション) アンケート集計結果 石井 勇一 (日本電気)
プログラム12 レビュー演習 アンケート集計結果 平野 誠太郎 (オムロン)


 プログラム1 「イントロダクション」〜ソフトウェア品質基礎と各講義の紹介〜

居駒講師■講師 居駒 幹夫 (日立製作所)

■講義のゴール
・組込みソフトウェアの品質関連の課題を理解する
・組込みソフトウェア品質の基本的な考え方と、本セミナーの各講義との関連を把握する

■概要
 経済産業省情報処理振興課「2004年版組込みソフトウェア産業実態調査」のデータをもとに、日本の組込みソフトウェアの品質関連の課題を解説し、組込みソフトウェアの品質の考え方と本セミナーの各講義を紹介する。

■キーワード・キーセンテンス
 「品質と顧客満足は同義である」 「バグを作り込まない、作り込んでしまったバグはできるだけ早く摘出する」 「Validation(妥当性確認)とVerification(検証)」




 プログラム2 「組込みシステム開発における知的財産権」

横田講師■講師 横田 一樹 (日本弁理士会)

■講義のゴール
・組込みシステム開発におけるソフトウェアの法的品質管理の必要性を理解し、法的品質管理を実践できる
・ソフトウェアの保護に関する基礎的な法律的知識を習得する

■概要
 特許権及び著作権の侵害訴訟の例やオープンソースの使用によるトラブル例などを紹介し、組み込みシステム開発におけるソフトウェアの法的品質管理の必要性について解説すると共に、「知的財産権の侵害回避」と「知的財産権の取得」という観点から法的品質管理の実践について言及する。 又、ソフトウェアの保護に関する基礎的な法律的知識として、主に「特許権」及び「著作権」について解説する。


■キーワード・キーセンテンス
 「ソフトウェアの法的品質管理」 「特許権」 「著作権」 「オープンソース」 「ソフトウェア発明保護の歴史」 「マイコン型特許」 「プログラム及びデータ構造の保護」 「侵害回避」 「権利取得」 「発明の発掘」



 プログラム3 「 構成管理 I (基礎編)」

田中講師■講師 田中 友子 (SESSAME)

■講義のゴール
・構成管理とは何かを理解する
・組込みシステムのソフトウェア構成管理が実践できるようになる
・よりよい構成管理によって組込みソフトウェアの品質向上を図れる

■概要
 ソフトウェアの構成管理とは何かを説明し、各種規格における構成管理の歴史や、位置づけ、また、具体的な構成管理のアクティビティは何かについて解説する。

■キーワード・キーセンテンス
 「ISO9000」 「CMMI」 「SLCP」 「SWEBOK」 「構成管理は縁の下の力持ち」 「構成管理のアクティビティ」 「変更内容、変更内容を確認できる」 「個々のものを判別できる」 「現在・過去の状況を確認できる」 「正しいということを確認できる」 「ソフトウェア構成管理にアクティビティとはソフトウェアライフサイクル全体にわたって、構成要素を正しく見分けられるようにすることを目的とする作業」



 プログラム4 「構成管理 II (実践編) 」

酒井講師■講師 酒井 由夫 (SESSAME)

■講義のゴール
・組込みシステムのソフトウェア構成管理が実践できるようになる
・ソフトウェアの品質向上と構成管理の関係を知り、実際の組込みソフトウェア開発プロジェクトにおいて構成管理がどのような役割を果たしているのかがわかる


■概要
 ソフトウェアプロジェクトと構成管理の最初の接点について考え、構成管理のベースラインや、構成管理と組込みシステム商品群との関係、具体的な構成管理のための施策について解説する。

■キーワード・キーセンテンス
 「リスクマネージメントと構成管理」 「求められるトレーサビリティ能力」 「品質の向上に役立つ構成管理」 「ソフトウェアプロジェクトと構成管理」 「要求仕様のベースライン」 「構成要素の階層的管理の必要性」 「構成管理の開始点」 「リリース時の構成管理」 「不具合発生時のトレース」 「構成管理を実施すること=構成管理ツールの導入ではない」



 プログラム5 「構成管理演習」

構成管理演習■講師  酒井 由夫 (SESSAME) / 田中 友子 (SESSAME)

■講義のメニューとゴール
・電子ポットのソフトウェアプロジェクトにおいて構成管理を仮想体験してみる
・3〜6人程度のチームで変更管理を行ってみる
・フィールドで発生した不具合に対して、ソフトウェア構成のトレースを実施し、リコールの必要なソフトウェアバージョンを明確化する
・上記の演習を体験し、自分のプロジェクトで構成管理を実施できるようになる


■概要

 電子ポットの開発チームからソフトウェアのメインテナンスを引き継いだチームに対して、電子ポットに対する不具合や仕様変更の要求がさまざまな部門からやってくるというシナリオ。チーム内のプロジェクトマネージャは変更管理表(Change Request と Change Report が一緒になったもの)の記入や承認を指導し、ライブラリアンは構成管理表に各構成要素のバージョンやトータルバージョンを書き込む。

■キーワード・キーセンテンス
 「電子ポットシステム」 「プロジェクトマネージャ」 「ライブラリアン」 「変更管理表」 「変更要求」 「変更レポート」 「変更管理表」 「リコールが必要なバージョンを報告」



 プログラム6 「プラットフォーム選定の観点(RTOS編)」

平野講師■講師 平野 誠太郎 (オムロン)

■講義のゴール
・プラットフォームの一つであるRTOSについて、選定の観点を挙げて、整理・整頓し、選定に役立てることができる

■概要
 RTOSの選択をQuality、Cost、Deliveryの3つの観点から分析し、評価方法を解説する。

■キーワード・キーセンテンス
 
「RTOSの選定を誤ると、品質を損なう可能性がある」 「RTOSの評価をレーダーチャートにする」 「Process Flow Diagram」



 プログラム7 「リアルタイムシステム設計 I (理論編)」

北村講師■講師 北村 裕之 (堀場製作所)

■講義のゴール
・リアルタイムシステムの設計に必要な基礎理論を学び理解できるようになる
・リアルタイムOSの構成と要素技術を学びソフトウェア設計に応用できるようになる

■概要
 リアルタイムシステムの概念の説明を行い、リアルタイムシステム構築で使用されるリアルタイムOSの説明を中心にマルチタスク動作、スケジューリング理論などの解説を行う。

■キーワード・キーセンテンス
 「ハードリアルタイム・ソフトリアルタイム」 「リアルタイムシステムの要件」 「周期的/非周期的」 「スケジューリング」 「ディスパッチャ」 「プリエンプティブ/ノンプリエンプティブ」 「優先度ベーススケジューリング」 「RMS(Rate Monotonic Scheduling)」 「タスク間通信」



 プログラム8 「リアルタイムシステム設計 II (実践編)」

居駒講師の説明■講師 北村 裕之 (堀場製作所)

■講義のゴール
・組込みソフトウェア設計に必要な要素技術を理解できる
・RTOSを用いた組込みソフトウェア設計の過程を習得し、システムの基本的な構造設計を行うことができる


■概要
 組込みソフトウェア設計を行なう上で考慮すべき点、構造化設計による状態のモデル化、タスク分割、タスク間通信に関する設計につき説明する。また、リアルタイムOSの実装に関して確認すべき点、注意すべき点、システムのチューニングなどについて解説する。

■キーワード・キーセンテンス
 「データフローダイアグラム(DFD)」 「事象(イベント)」 「イベントリスト」 「状態遷移表」 「タスク分割」 「タスクの優先度付け」 「イベント通知とメッセージ通知」 「queuing」 「タスク間通信」 「タスクの設計」 「デッドロック」 「システムのチューニング」 「キャッシュ」




 プログラム9 リアルタイムシステム設計演習

斎藤講師■講師 斎藤 賢一(リコー)

■講義のゴール
・RTOSを使った設計の理解を深める
・分析から設計へのポイントをつかむ
・いろいろな設計案を習得する
・より最適な設計を導き出せるようになる

■概要
SESSAMEの教材である、話題沸騰ポットを題材に、μITRON4.0を使用したタスクの実装、タスク構成表の作成、設計案の作成等を各個人で実習する。

■キーワード・キーセンテンス
 「タスクの実装」 「イベントリスト」 「コンテキストダイアグラム」 「データ辞書」 「DFD0」 「Cスペック」 「実装分析」 「デッドロック」 「セマフォ」 「電子ポット」 「タスクの抽出」 「優先順位」 「タスク間通信」 「構造図」



 プログラム10 「組込み開発のソフトウェアテスティング」

大西講師■講師 大西 建児(豆蔵)

■講義のゴール
・リアルタイムシステムの特徴である並行処理と割り込み処理の不具合の特性を掴む
・組み込みシステムをテストする時にどんな工夫が必要か思考方法を知る

■概要
テストを実施する面からリアルタイムシステムを分析し、不具合の起こしやすいケースの出し方/考え方、効果的なテストについての手順/環境/ツール等について解説する。

■キーワード・キーセンテンス
 「テスト」 「リアルタイムシステム」 「並行処理」 「割込み処理」 「再現性」 「面倒な不具合」 「タイミング」 「哲学者の食事問題」 「ライブロック」 「モデルベースでのテスト」 「タイマやパラメータの閾値を狙ったテスト」 「テスト担当を育てる」 「ソフトウェアテスト技法」 「システムとして思考する」




 プログラム11 「レビュー(ウォークスルー&インスペクション)」

石井講師■講師 石井 勇一(日本電気)

■講義のゴール
・レビューの重要性を理解し、自分の組織内でレビューの重要性を説明できる
・さまざまなレビュー技法を用いて、適切かつ効率的なレビューを実施できる

■概要
レビューの効果、必要性、種類、目的、注意点等について整理し、公式なレビュー(インスペクション)と非公式なレビュー(ウォークスルー)について概要/相違点/実施手順等を解説する。

■キーワード・キーセンテンス
 「欠陥除去」 「なぜ、レビューは省略されるのか」 「インスペクション」 「公式なレビュー」 「レビュー技法」 「他者によるチェック」 「インスペクションのプロセス」 「モデレータ」 「インスペクタ」 「ウォークスルー」 「レビューでの禁止事項」 「レビュー実施におけるFAQ」



 プログラム12 「レビュー演習」

インスペクションデモ■監修 平野 誠太郎(オムロン)

■概要
・まずは、SESSAME有志による、公式なレビューのデモンストレーションを約20分間に渡って行なった。
構成は、モデレータ、インスペクタ(2名)、読み手、記録係、作成者の6名。
議論に走りがちなインスペクタ、作成者を上手にモデレータがコントロールする様子を伝えた。
・各グループで実習(レビュ講義によるインスペクション)


■キーワード・キーセンテンス
 「モデレータ」 「インスペクタ」 「読み手」 「記録係」 「作成者」 「モデレータは個人攻撃を避けるように指導する」 「タイプミスはミーティング後に作成者へ送付する」




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