9th Open SESSAME Seminar Report

2007年3月27日

9th Open Sessame Seminar の概要

会場の様子

組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会(SESSAME)は第9回組込みソフトウェア技術者・管理者向けセミナー(9th Open SESSAME Seminar)を、2007年3月12日(月)に、東京・日本橋浜町の東実年金会館にて開催しました。

日本のソフトウェア産業の競争力低下が長いこと叫ばれています。世界と対等に戦い優位に立つためには、日本は組込みソフトに注力しなくてはなりません。日本がもっとも力を発揮でき、また発揮しなくてはならない分野は組込みソフトウェアなのです。しかし家電製品や自動車、通信、FA機器など多くのハードウェアが“インテリジェント化”する一方で、組込みソフトウェアエンジニアは複雑さや規模、信頼性要求の高まりに悲鳴を上げています。

SESSAMEはこの状況を打破するために、設立以来組込みソフトウェア技術者や管理者を育成するためのカリキュラムの整備を行ってきました。今回新たにSESSAMEが取り上げるのは、仕組みとしてうまく機能していないと言われることの多いOJTです。

組込みソフトウェア開発の現場では、若手を育成するためにはOJTを欠かすことはできません。しかし、OJTは指導者の技術的・人間的スキルに頼るところが大きく、多忙な現代社会ではなかなか効果が上げられない、OJTが根付かない、というのが現状ではないでしょうか。
本セミナーでは、OJTの役割を再度見直し、参加者の身近なデータを用いた演習を交えながら『職場の技術目標に向かって、業務をこなしながら、計画的な学習を支援する』ための技術を身につけていただくことを目的としています。


9th Open Sessame Seminar 参加募集要項
9th Open Sessame Seminarアンケート集計結果

 From Seminar Planner (セミナープランナーより)

林勝義■プランナーからのメッセージ 林 勝義 (パイオニア)

9th OpenSESSAME Seminarでは、1) 職場の技術目標に向かって、2) 業務をこなしながら、3) 計画的な学習を支援するための技術を身につけていただくことを目的とし、演習やデモンストレーションを多く取り入れました。

当日は他社の方が作成したOJT計画をレビューし、良い例と悪い例のコーチングのデモンストレーションを見ていただいた後、グループ演習という形でコーチングを実際に体験していただき活発な意見交換がなされ、皆さんの意欲の高さを感じることができました。

本セミナーで身につけた技術を、御自身の職場で活用していただければ幸いです。



9th Open SESSAME Seminar プログラム 3月12日(月)

プログラム1

問題提起とOJTの全体像

アンケート集計結果

渡辺 登
(IPA/SEC、沖通信システム)

プログラム2

「計画」の立て方

アンケート集計結果

吉澤 智美
(NECエレクトロニクス)

プログラム3

「実施」(コーチングのポイント)

アンケート集計結果

西川 幸延
(NECソフトウェア北陸)

プログラム4

「計測」「制御」と「終了」

アンケート集計結果

坂本 直史
(ルネサスソリューションズ)

 プログラム1 「問題提起とOJTの全体像」

渡辺登■講師 渡辺 登 (IPA/SEC、沖通信システム)

■概要
・組込みソフト産業実態調査から見たOJTの実態
・OJTと人材育成の理論整理
・知識とスキルの峻別による教育方法の選択

■キーワード・キーセンテンス
 「おまかせジョブトレーニングからの脱却」 「ビジネスの変化、グローバル化の進行」 「世代間ギャップの進行」 「大規模・複雑化、高い付加価値の提供」 「型を身につける」 「教育をキチンとデザインする」 「ティーチングとコーチング」

 プログラム2 「計画の立て方」

吉澤智美■講師 吉澤 智美 (NECエレクトロニクス)

■講義のゴール
・OJTの流れを知る
・OJTの計画の立て方を知る
・OJT計画を実際に立案する


■概要
Step1 OJT計画を立てることの必要性
Step2 計画を立てる
Step3 演習1
Step4 演習2

■キーワード・キーセンテンス
「計画・実施・計測/制御・終了」「OJT計画シート」 「組織の使命・担当業務・本人への期待・スキルパス」「OJTのステークホルダー」「OJTは、業務を通して〜できるを育てること」「OJT計画は100人100色。個人個人にあった育成計画を立て実践する」


 プログラム3 「 実施(コーチングのポイント)」

西川幸延■講師 西川 幸延 (NECソフトウェア北陸)

■寸劇
・脚本 山田 大介(ビースラッシュ)
・寸劇 稲葉 道夫(ブラザー工業)、河野 哲也(電気通信大学)、斎藤 賢一(リコー)、酒井 郁子(ビースラッシュ)

■講義のゴール
・現場でよく見られるOJTの良い例と悪い例のデモンストレーション(寸劇)を見て、両者を対比することにより、コーチングのポイントを理解する
・デモンストレーション(寸劇)の登場人物の役割を演じてみることにより、コーチングを実際に体験する

概要
Step1 コーチングのポイント
Step2 コーチングのデモンストレーション
Step3 演習2:コーチングの疑似体験

■キーワード・キーセンテンス
「教え込むのではなく引き出す」 「信・認・任」 「人間の可能性を信じる」 「上司・部下関係の信頼を築く」「相手の良いところを認めて心にとめる」 「適材適所」 「任せて任せず」 「傾聴・質問・承認」 「Open Question vs Closed Question」

 プログラム4 「計測、制御と終了」

坂本直史■講師 坂本 直史 (ルネサスソリューションズ)

■講義のゴール
・OJTにおける「計測」「制御」「終了」について目的、内容や進め方を確認する
・日々どういう指導をしているかを胸に手を当てて考える
・出会いの大切さ、意識することの大切さを再認識する

■概要
Step1 OJT計画の必要性の復習
Step2 OJTにおける計測
Step3 OJTにおける制御
Step4 OJTにおける終了

■キーワード・キーセンテンス
「育成対象者がうまくいっているといっても、本当にうまくいっているかの検証が必要」 「情報を引き出すために自由な答えを求める」 「実際にやったこと、考えたこと、できなかったことに焦点を当てる」 「相手の持つ問題意識を捕まえる」 「ジョハリの窓」 「ゴールの旗(計画表)を見て昼寝をしていたのでは駄目」 「目の前の仕事に精一杯で目標を忘れているなら、まず喚起」 「型を身につける」 「良いOJTは結果として組織が強くなる」


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